『雲ながるる果てに』(1953年)家城巳代治:監督
舞台は1945年4月、本土南端の特攻基地とあるから鹿屋(かのや)基地のことか^^。
沖縄戦が始まり戦艦大和撃沈の噂が流れるなか、学徒特攻兵士たちの最後の数日を描いた作品。
映画の序盤、ある者は酒を飲んで大騒ぎし、ある者は馴染みの酌婦のもとへ夜ごと通うといったのんびりとした日常が描かれる。
しかし、中盤で特攻命令が下りてから様相が一変する。
顔には出さないが、隊員各自の心中には苦しみが満ちていた。
その未練をなんとか断ち切り、いよいよ出撃という日、朝から雨が降っていた。
そして、翌日も雨が上がることはなかった。
はけ口のない焦燥感が特攻兵士たちを包みこんでいく・・・・。
ラストに出てくる、幕僚たちが交わす会話に作り手たちの怒りがこもっていた。
結局戦争になると、為政者にとって兵士はひとりの人間ではなく、あくまでも頭数でしかないと弾劾する。
今から60年も昔の映画ではあるが、きな臭くなってきた現在では、作り手たちの怒りや未来への危惧は、決して古びていなかったわ。